はじめに

3月19日、cllctv.としては2度目の自主企画、「bookshelf vol.2」が行われました。今回はデイイベントということで、ハポンの窓から漏れる陽の光が、いつものハポンとは違った空気感を作り上げていて、非常に温かみの感じられる日になったかなと思います。昼間から時間を合わせて来場してくれた皆さん、本当にありがとうございました。イベントはどうだったでしょうか?僕ら自分たちの審美眼には絶対の自信があるので、今後も僕らにしかできない最高のイベント作りをしていけたらと思います。

今回の企画は、現在破竹の勢いでその知名度を拡大している京都のバンド、ベランダのレコ発の名古屋編という形でスタートしました。第一回に引き続き京都からの来名を快諾してくれた彼らの名古屋でのリリースイベントを全力でバックアップすべく、僕ら二人で考えられる最高の組み合わせを揃えました。僕が今回ベランダと一緒に見たかったバンドは、東京のナツノムジナ。セルフタイトルのepを以前にsans visage上山くんのディストロで購入して以来、その独特のうだるような温度感の虜になってしまい、レビューも書きました。ちょうど彼らもDriftageと称した新曲群のリリース時期であり、そのタイミングで名古屋での彼らの演奏を見られるのであればなんと贅沢なことだろうかという僕個人の思い入れもあって今回声をかけさせていただき、無事、ハポンという素敵な場所で初めて彼らのライブを目撃することができたのです。

僕とともにイベントを作り上げてくれるshijunが僕に紹介してくれたのは、cookie romance nonsugarというバンドとOphillというバンドでした。正直に言ってしまうと、名古屋にこれほど良質なバンド音楽がいて、なおかつそれに気づけていなかったのは、名古屋で音楽好きを語る上で非常に情けない話だと思いました。cookie romance nonsugarはまず何よりも”夜明け前”という曲を聴いてほしい。ギターフレーズから感じられる諦念と鼻にかかる歌声と。気の抜けかけの炭酸のようなしゅわっとした感覚は完全に00年代のギターロック。グランジ、オルタナから影響を受けたギターロックが日本ではやり始めたちょうど2世代目くらいの日本語にマッチし始めたオルタナの形がこんな近くで再確認できるなんて思いもしませんでした。

そしてOphillです。ひねくれポップを自称する彼ら、当日ライブを見に来てくれたあるお客さんが奥田民生を見ているようだったと言ってくれていましたが、紡がれる言葉遊びのセンス、積み重ねてきた年齢の醸し出す絶妙な力の抜け具合には通じるものを感じてしまうのも当然かもしれません。sick of recorderが大好きだと語る彼らから感じる、ポストロックの繁栄に合わせて動いてきた現場世代の独特なクロスオーバー感は当時こそ溢れていたものなのかもしれませんが、今となってはとても新鮮で、しかし懐かしいぐるぐるした感覚を与えてくれました。

tomohiro

3/19、cllctv.二度目のイベント「bookshelf vol.2」を行いました。今回のイベントに出て頂いた4組はオルタナティヴでポップ、そして温かさの中に毒素が息衝いている4組。昼間のハポンにぴったりのさらりとした空気感ながら、終わった後に色濃い感情を残してくれる4組を集められたと思います。デイイベントと言う試みには不安もありましたが、結果的にデイイベントならではの良さを出すことはできたのかなと思います。来場してくださった皆様、出演して頂いた皆様、其の他この企画に関わってくれた皆様に改めて感謝を述べさせていただきます。本当にありがとうございました。

正直、今回、僕は主催者として反省していることがいくつかあります。その中でも一番大きいのは「ライブ中楽しみすぎた」と言うことです。主催者として持っておくべき冷静さを完全に失って音楽に体を委ねすぎたような気がします。ただ、それだけ楽しかった。それだけ楽しかったと言うことだけは言えます。見に来てくださった皆様に、この楽しさをちゃんと共有できていたのであれば何よりです。

shijun