disc reviewパステルカラーに映えた、あの日のがらくた箱から

tomohiro

Golf - EPGOLF

release:

place:

Youtubeとかを回遊してると、いろんな界隈の音楽マニアが、自分のラジオみたいな感じで音楽をいっぱい転載して支持を得たりしていて、このご時世、そこらへん大丈夫なんだろうかとか思ったりもするのだけど、そういう人が集めてこないと知れない音楽っていっぱいあるんですよね。だからまぁある程度アーティストと持ちつ持たれつの関係なのかなとか思いつつ。っていうかそもそもレビューサイトもそんなこと言ったらなかなか危ないラインよねと。他人の褌で相撲取ってるわけですから。

というわけで、そんなYoutubeのインディーロック〜インディーポップ、ベッドルームポップを蒐集しているとあるチャンネルで拾ってきたのが、今回紹介するGOLF。カリフォルニア出身、アムステルダム在住のナイスガイ。アムステルダムってやっぱり大麻吸えるのかな。そう思うとこの夢見感はなんの酩酊から生まれたのかなと考えたりもしたり。

 

まるで磁気テープの向こう側から流れてくるような、まろみを持った淡い音像。レトロシンセ系の朴訥とした音色と中性的なウィスパー。自身のアーティスト写真にCASIOのTonebankを掲げる感じからも察して、両側から掘ったトンネルが貫通するように、読み取れる彼の指向性のわかりやすさたるや。

 

#1 “Glue”は音数少なく揺れる序盤から、まどろみを妨げないように上品に拡張していく楽器たちの慎ましさに微笑みつつ。子どもがカチャカチャと音を立てておもちゃ箱をひっくり返すように、賑やかでパステルなシンセサウンドと人懐っこくて甘ったるく、とてもセンチメンタルなメロディが過度に郷愁に触れる、キラキラとした#3 “Under Arrest”がこのアルバムのピークといえるだろうか。

 

そして甘美なまどろみに導かれつつ、つづく#4 “Gold Hotel”、#5 “Callie”と橙色の眠りへと誘っていく。

最近何かと流れのあるジャンルですが、そんななかでもとても甘美で懐かしい、秀逸な音楽だと思います。

眠れない夜に一聴いかがでしょうか。僕は出勤中に聞いていたら何もかもやめようという気持ちになったのでそれはお勧めしません 笑

WRITER

tomohiro

エモを中心に枝葉を伸ばして聴いています。アナログな人間でありたいと思っています。野菜がたくさんのったラーメンが好きです。

このライターの記事を読む