disc reviewヴィンテージサウンドとデジタルサウンドの融合、クールで楽しいディスコポップ

shijun

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MONKEY MAJIK2016年発売のアルバム。今MONKEY MAJIKかよと思う人もいるかもしれないが、今こそMONKEY MAJIKなのである。MONKEY MAJIKと言うとバラードのイメージが強い人が多いと思うが、このアルバムは「心を躍らす」をテーマに据えており、ダンサブルな楽曲が多い一枚になっている。そのダンスサウンドに対するアプローチの仕方が最高でファンク、ソウルなどのアナログのアプローチと現代のハイファイサウンドの融合、つまり最先端の洋ディスコポップにも通ずるようなサウンドになっているのだ。

#1Delicious」から10年代の海外のディスコポップに完全に接近したサウンドが聞ける。低温かつハイエモーションなギター、シンセの音色もクールだし、線の細いギターソロも洒落ているし、シンセの使い方もディスコチック。とりあえず聞いていただこうか。

#2「High」はレトロなサウンドを現代のノリで再現したようなダンスナンバーで、マーク・ロンソンなんかとの同期性も感じる。#3Plastin Girl」はファンキーでクールな楽曲。EDM以降感を感じるシンセが楽しい。#4Undercover」はダークなシンセポップ。80年代的な不穏さすらポップに転化する今風のシンセポップと言えるか。シンセが曲を引っ張りつつも彼ららしくファンキーに弾き倒されたギターがボルテージを上げていたりと侮れない。#5Utopia」は割と日本人的なメロディも聞けるMONKEY MAJIK流のレゲエ。続く#6Breathe」でもファンキーでダンサブルなカッティングと言う懐かしい音がデジタルサウンドの中にしっかりと融合している。

#7Gamer」はエレクトロ的なアプローチの明るさとMONKEY MAJIK本来の煤けた色気の組み合わせが不思議で楽しい。#8Kiss Me」はメロウでシガレッティなソウル。低音に重きを置いたミックスでやはりダンス方向にもアプローチしてくる。サビのシンセも鮮やかでメロウな中にもメリハリが。#10Splash」は場末のスナックで流れてそうな歌謡っぽい曲なのに、ダサさよりも渋さとかっこよさが先行しているのがアレンジとボーカルの妙。#11Valentine」は彼らの得意とするバラードのような曲だが、アレンジのはやはり一筋縄ではいかない所も。終盤の展開は圧巻。#12Colours of the world」は前曲に引き続きストリングスの主張が強い壮大な楽曲。エモーショナルなバラード、#13The Mistakes Ive Made」で締め。

MONKEY MAJIKのアルバムを真面目に聴いたのは正直言うとこれが初で、これまでの作品に関しては有名なシングル曲ぐらいしか知らなかったのだが、サウンドが海外の先端に寄ったアプローチになっていて、これを他のアルバムでも聴けるなら他も聴いて見たいと思える出来だった。正直言って驚いた。オーガニックなバラードのイメージが強いけれど、よく考えれば「Around the world」とかもダンサブルなサウンドであったし、こう言ったアルバムを作る素質は元からあったのだとも思う。本人たちも、ある種の原点回帰的な部分も含んでいると述べているこのアルバム。普通に洋ディスコポップが好きな方、MONKEY MAJIKを正直あまり知らないと言う方に聞いて見てほしい。きっとぶっ飛ぶ。

WRITER

shijun

ポップな曲と泣ける曲は正義です。female vocalが特に好きです。たまに音楽系のNAVERまとめを作ってます。なんでも食べます。

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