disc reviewハイブリッド・国産スクリーモの見せた明日

tomohiro

VOICE404 NOT FOUND

愛知を中心に活動していた5人組メタルコア/ヘヴィ・ラウドロックバンド、404 NOT FOUNDの活動初期にリリースされていた1stフルアルバム。ニュースクールハードコアを基調にしたメロディックなフレーズを中心にして、より重く、メタルコアに寄せたメカニカルなギターリフを随所に盛り込んだサウンドに、スクリーモ由来な伸びのあるボーカルが絡むサウンドが特徴だ。ギタリスト二人ともが独立してフレーズを構築しており、ギターソロの裏でもタッピングフレーズが飛び交っていたりする。しかし、それは決して耳障りなテクニック誇示なものではなく、しっかりと曲の雰囲気を作り出すことに一役買っているのが面白いところ。

MVにもなっているアルバムのタイトルトラック#2 “VOICE”は深くリバーブのかかったタッピングフレーズのイントロが印象的だ。基本的にはコード弾きとリフとに分担されているギターだが、時折ハモって同じリフを弾いたり、アルペジオとミュートリフでサビを彩ったりと、聴き手を飽きさせない楽曲だ。サビのコーラスワークの爽快感には目を見張るものがある。#4 “LIKE A FLOW OF TIME”はメタルコア的な手法から離れた、メロディアスなミドルテンポチューンで、挿入されるストリングスが楽曲の壮大さを増す。自身のaudioleafでも述べている通り、The UsedStory Of The Yearのような現行スクリーモの影響は言うまでもないが、それらをIn FlamesKillswitch Engageのようなメロデス、メタルコア、ニュースクールをないまぜにしたようなメカニカルさを加えることで、現行スクリーモに感じる、『キャッチーさ、爽快さゆえの飽き』を感じさせない絶妙な仕上がりになっている。このあたりのバランス感はコンポーザーの実力の高さを証明しているといえるだろう。

現在はすでに解散しているが、もし活動を続けていたら、現在でも第一線で活躍できたバンドだっただろう。

 

 

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tomohiro

エモを中心に枝葉を伸ばして聴いています。アナログな人間でありたいと思っています。野菜がたくさんのったラーメンが好きです。

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