「はんなりオルタナロックバンド」を自称する、京都出身ガールズバンドPOP CHOCOLATの2005年リリースのミニアルバム。オルタナの名門UK.PROJECTからのリリース。現在はサポートメンバーを加え5人体制で活動している彼女達だが、この当時はスリーピースであった。編成が変わった現在も当時も変わらないのが、全員がVoを取るというスタイル。その珍しいスタイルをフルに活かしたコーラスワークの妙が彼女たちにしかできないポップさを生み出している。UK/USオルタナの影響を感じさせる乾いたギターサウンドに乗っかるキュートでゆるいボーカル、しっかりオルタナとバンド名通りの”POP”を共存させている。

いきなりボーカルのみで見事なコーラスワークを見せつけて来る#1「Visitor」。非常にゆるくポップに始まり、やがてバンドサウンドが入っても派手に盛り上がることはせず、乾いたギターサウンドで抑えめにゆったりと展開していく。メインフレーズは主旋律だけでなくハモりも加えて、さらに裏で別のフレーズを歌うボーカルも現れる、トリプルボーカル構成だから許される所業を贅沢に行っているのも特徴。1曲目、時間にして2分弱にして彼女たちの魅力が全て凝縮されている。

エモーショナルな轟音ギターが現れる#2「飛行機」はよりオルタナに振り切れていると言えるだろう。しかしながら、加速しつつリフレインする「小さくなっていくよ」というフレーズは耳当たりが良い。そして何より、緩い、否、彼女達流に言うなら”はんなり”したボーカルスタイルがそれをポップな物に昇華しているのがさすがである。#5「Sky Blue」は初期スーパーカーを思わせるざらついた甘メロギターポップ。だが切なさは皆無で底抜けに明るい雰囲気を放っている所は彼女達らしさか。少し雰囲気の変わるサビも印象的。

他にも、青春を感じさせる雰囲気を振りまきつつもお洒落なメロディでまとめた#3「空色ペダル～Sea Of Summer～」。ゆったりと伸びやかな脱力系ロックバラード、#4「フワリ」。最初は脱力感を見せつつも、最初のサビから少しだけ切なさを刺してくる展開が見事な#6「コード」。そして轟音ギターをかき鳴らすポップパンク風な#7「No Way」と、最後まで飽きさせることなく色々な姿を見せてくれる。

卓越したコーラスワーク、脱力感全開なその雰囲気、しっかりとしたポップセンス、そしてちらりと見せるオルタナ愛。どこを取っても結成5年のこの段階で完成されている。もっともっと多くの人の耳に触れるべきバンドである。興味があったら是非音源を購入し、ライブにも足を運んでみてほしい。