disc review深夜、静謐なる海原、月に吠える

tomohiro

OSRUMOsrum

release:

place:

As Meiasのギタリストとして活動していたGt/Vo. 魚頭を中心に、ex-As Meias, NAHT, pre-Baloonsなどと盤石のメンバーで現出したオルタナティブスリーピースギターロックバンド、Osrumの初めての音源。

 

不穏に和を感じさせるイントロも期待十分に、夜の大洋に繰り出すかのような冒険心を掻き立てる歌メロ、焦らしに焦らして訪れるサビに至るまで、バンドの魅力が凝縮された大曲”2013″に幕を開け、7拍子で繰り返されるリフが印象的な”満月と低気圧”、夜の波打ち際に佇んでいるかのような感覚に陥るインスト曲”調和”、djentのギターロック解釈とも取れるようなカッティングフレーズと変拍子が歌を印象付ける革新的さが曲名に見事にマッチする”新しいこと”、アルバムラストながらしんみりとは終わらせないとばかりに胸を熱くするギターリフで心を持ち上げて来る”全然終わってない”と5曲で30分弱の濃厚な一枚となっている。

 

自身の所属してきたAs MeiasZなどに取り入れ、模索を続けてきたメタリックな音楽たちとエモ、オルタナティブの融合。それはAs MeiasではMeshuggahへの多大なるリスペクトのままに、譜割りの頭を隠すかのようなギターフレーズとドラム、リズムギターとのポリリズムとして現れ、PeripheryBorn Of Osirisなどdjentと呼ばれるようになるバンドたちとは全く異なったジャンル、スタイルでバンドへ落とし込むことで結実し、Zでは構築的なリフをパンク、ハードコアに近いフィーリングで取り入れることでソリッドなサウンドを実現した。

そういった変遷を経て今、魚頭自らが舵をとるOsrumでは、オルタナを下敷きに要所に現れる構築的美フレーズ、Meshuggahへの傾倒によって手に入れたであろう白人まがいの大きなリズム感で味付けをし、そこにメロディアスに曲を支えるベースと、ソリッドで抜け目ないドラムとが合わさり、彼自身の勇ましい歌声によってまさに「新しいこと」が始められようとしている。そのサウンドはあまりに広大で、底が見えず、バンドの本領はまだ推し量ることは出来ない。

 

かつてcatuneにおいてレーベルメイトであったBorisと近いフィーリングを持つバンドだと感じるので、ぜひそちらのファンのリスナーにも聞いてほしい。

 

Trailer

WRITER

tomohiro

エモを中心に枝葉を伸ばして聴いています。アナログな人間でありたいと思っています。野菜がたくさんのったラーメンが好きです。

このライターの記事を読む