disc review六つの箱庭、慎ましやかな祝祭

shijun

friends箱庭の室内楽

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アイドルグループ、ゆるめるモ!やlyrical schoolなど、曲提供を積極的に行っていることでも有名になりつつあるハシダカズマがコンポーザーを務めるバンド、箱庭の室内楽の2014年リリースのミニアルバム。ギターボーカル、ベース、ドラム、ギター、キーボードというバンドメンバーたちに加え、サポートとしてコーラス、パーカッション、トランペット、トロンボーン、サックスのメンバーが参加しており、バンドの枠を超えた様々なサウンドが楽しめる。また、ボーカルハシダの歌声はハスキーだがどこか男臭さも感じさせる独特な歌声だが、それがなんとも心地よい。

 

歌詞中に現れる言葉を引用するならば、まさに「瞬く夜空」のようなキラキラしたシンセサイザーからはじまり、穏やかに広がっていくポップな#1。クリーンギターと流れるような単音を奏でるシンセの絡みがどこまでも煌めき続ける#2。管楽器がアダルトな響きを醸すジャジーなシティポップ#3。マリンバのような音も現れ、慎ましやかに進行していく「星降る森」をイメージした神秘的な#4。緊張感の中でもどこか落ち着かせる雰囲気もある小物インスト曲#5。そして前作のタイトルを冠したアコースティックギターとボーカル、コーラスのみだが、ハシダのハスキーで泣いているような歌声と透き通ったコーラスとでシンプルに泣かせてくる#6。バンド編成の枠に囚われない柔軟過ぎるサウンドメイキングによって、一曲一曲それぞれが全く違った景色を見せてくれる。

 

豊富な楽器から紡ぎ出される様々な景色は、まさに「箱庭」を並べて眺めているような感覚と言えるかもしれない。どの曲も落ち着いており、リラックスしたい時にもオススメなこのアルバム。現実の葛藤をひとたび忘れて、煌びやかな箱庭の世界に浸ってみるのは如何だろうか。

 

 

WRITER

shijun

ポップな曲と泣ける曲は正義です。female vocalが特に好きです。たまに音楽系のNAVERまとめを作ってます。なんでも食べます。

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