disc review洗練され、交わりあう感性と理性

tomohiro

AvalanchesCity Escape

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オーストラリアには、質のいいハイセンスなスクリーモがせめぎ合うシーンが存在している。Closure In Moscowというバンドを知り、それを感じた時にオーストラリアのスクリーモ、ポストハードコアシーンを掘り下げるために、このアルバムとThe Mission In Motionというバンドとを購入した。そんな経緯で手に入れた一枚。3枚ともオーストラリアのスクリーモシーンの違った一面をのぞかせてくれた良作だったので、他の2枚もまた折を見て紹介していきたいと思う。

今回はCity Escape。サウンドとしては、とてもモダンでスタイリッシュなハイブリッド型スクリーモであり、爽快感のあるメロディとバランスよく入ったシンセフレーズに、ギター2本が独立したフレーズを弾きながら絡むところがなかなかに面白い。この辺りはClosure In Moscowなどからも影響を感じるあたりだ。ブレイクダウンのような展開も導入し、メリハリもあり、尚且つ3分程度に曲尺を納めてくるあたりは実に完成されている。また、スクリームが実に悲痛でエモーショナルであり、クリーンボーカルとの対比でとてもかっこよく、クリーンボーカルオンリーのスクリーモとは、一線を画している。また、国内盤特典として追加収録されているAcoustic音源の#9,10では、Vo/GtのJarrodのナイーヴな歌声が存分に堪能でき、メンバー自身がRemixを手がけた#8もアダルトで聞き応えのあるナンバーなので、ぜひ国内盤を聴いてみてほしい。また、全曲通して自然につながるようなアルバム構成なので、是非シャッフルではなく順序通りに。

Saosinのようなクリーントーンのスクリーモ好きから、日本でのa crowd of rebellionFear, and Loathing in Las Vegas、The Winking Owlなんかが好きな人にも薦められる作品。日本のピコリーモ界隈から枝を伸ばしたい人には#2の爆発力や#5の終盤の大サビの胸が締め付けられる感覚は丁度良い足がかりになる筈だ。

 

When The Vultures Start To Circle

Now, The Hard Part

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tomohiro

エモを中心に枝葉を伸ばして聴いています。アナログな人間でありたいと思っています。野菜がたくさんのったラーメンが好きです。

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