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2015.10.24

スパンクル

水深200メートルからみた光

疎外され行く感情に、輪郭の滲んだ薄明を

東京を中心に活動していた4ピース・ガールズバンド、スパンクルのミニアルバム。彼女達が標榜していたのは「疎外感ロック」。一見どういう意味か分からない言葉ではあるが疎外感を感じることを否定するわけでも、疎外感を感じることに絶望するわけでもなく、疎外感を認めたうえで「あなただけではない」と寄り添うような楽曲を目指していたようである。音像としてはUKや北欧あたりの影響を感じさせる低温かつ轟音なギターロックである。その中でわらべ唄合唱団出身という経歴を持つVo.の伸びやかで柔らかい歌声が光る。

2015.10.23

Bloc Party

A Weekend In The City

最もクールでダンサブルな言説を謳う、黒きオラター

ボーカルギター、Keleの歌う独特のナイーヴな節回しのメロディと、曲中を縦横無尽に切り裂くRusselのキャッチーかつダークなギターリフが耳に残る、ポストパンク/ニューウェーヴ・リバイバルの筆頭にあるイギリスのロックバンド、Bloc Partyの2nd。

2015.10.21

Vivian Girls

Everything Goes Wrong

イディオット・ガールはドリーム・ポップで衝動を鳴らす

ニューヨークはブルックリンのガールズスリーピースバンド、Vivian Girlsの2ndアルバム。サウンドはガレージ・パンク通過型ドリーム・ポップ、と言った風貌で、ガレージ・パンクの反骨精神とドリーム・ポップの持つ多幸感とが共存した楽曲が持ち味。歌も楽器も決して上手ではないがどこか癖に成る愛らしさにはアノラックの精神も感じられ、インディー・ポップ愛好家たちに愛されたバンドだったようだ。現在は残念ながら解散してしまっている。

2015.10.20

Rescue

Volume Plus Volume

乱れ飛ぶ雑言のごった煮が起こした思わぬ化学反応

おそらく日本での知名度はそれほど高くはないのではないだろうか。シカゴで活動し、1枚のEPと1枚のアルバムをリリースするのみに終わった短命のポスト・ハードコアバンド、Rescueのフルアルバム。

2015.10.17

CRUNCH

ふとした日常のこと

鈍色と寂寥の日常を映すアンダーグラウンド・シティ・ポップ

名古屋を中心に活動するガールズ・スリーピース、CRUNCHの1stアルバム。これ以前に配信限定でリリースしたはっぴぃえんどのカバーEPが話題になるなど、ジャパニーズ・シティ・ポップ文化の影響を多大に受けつつ、ポストパンク、ニューウェーヴ等の持つクールネスを存分に含ませた楽曲が特徴的。

2015.10.16

PLAY DEAD SEASON

JUNKHEAD

鉄血のジャンクソング、矢の雨に旗を掲げ立つ

東京発4人組ジャンク・ハードコアパンクバンド、PLAY DEAD SEASONの1stフルレングス。日本人離れした硬質でドライヴ感に溢れる佇まいは、Drive Like Jehuに代表されるようなDCハードコア、並びにRescueのようなそれらのフォロワーの流れを組む。

2015.10.14

POP CHOCOLAT

虹色ファルセット

トリプルボーカルが織りなす、虹色オルタナ空模様

現在はサポートメンバーを加え5人体制で活動している彼女達だが、この当時はスリーピースであった。編成が変わった現在も当時も変わらないのが、全員がVoを取るというスタイル。その珍しいスタイルをフルに活かしたコーラスワークの妙が彼女たちにしかできないポップさを生み出している。UK/USオルタナの影響を感じさせる乾いたギターサウンドに乗っかるキュートでゆるいボーカル、しっかりオルタナとバンド名通りの"POP"を共存させている。

2015.10.13

つばき

あの日の空に踵を鳴らせ

歩み続ける朱の花、その踏み出した一足目の跡

今年で活動15周年を迎えた円熟のスリーピースロックバンド、つばきのメジャーデビュー前に発売された1stフルアルバム。

2015.10.08

フジファブリック

CHRONICLE

過去に、今に、或る筈だった未来に。薄い膜を張る憂鬱と虚無

フジファブリック、2009年発売の4thフルアルバム。それまでの変態プログレポップ路線は薄れ、バンドのメインコンポーザーを務める志村正彦の内面を綴ったような内省的でストレートな楽曲が目立つ一枚。そして、この年のクリスマスイブにこの世を去った志村正彦が完全な形で完成させた最後のアルバムでもある。実質的な遺作と言えるこの作品が「志村正彦」という人間を最も象徴する一枚である、というのはなんとも不思議な巡り合わせである。

2015.10.06

椿屋四重奏

薔薇とダイヤモンド

朝焼けを染め上げた深紅から、深い夜の藍へと沈むまでの間に

つややかで刹那的な歌謡曲由来の唄と詞、センスフルで緻密、高度に完成されたハイレベルな楽曲で、他にない椿屋四重奏という色でシーンを真っ赤に染め上げたバンド、椿屋四重奏の2ndフルレングス。