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2015.11.29

Crimson

World scape

様々な世界の景色と空気を映す、人力エレクトロニカ

鹿児島県で結成されたバンド、Crimsonのミニアルバム。Key.福重まりは今年の紅白歌合戦にも出演の決定したあの"ゲスの極み乙女。"のKeyでもある。このバンドは彼女を中心に結成されたバンドであり、曲作りも彼女が中心と成って行っていたようだ。ゲスの極み乙女。以上に彼女の鬼才っぷりを堪能できる音源と言えるだろう。彼女だけでなく、タイトなドラムや、メロディアスに動きまくるベースも面白い。Vo.川中梢の中性的な声質も、必ずしもVo.重視とは言えない楽曲を邪魔しない程度の存在感で非常に心地よい。フレーズなどにはクラシック、ジャズの影響などを感じさせつつも、曲調としてはポストロック、或いは人力エレクトロニカという塩梅である。

2015.11.27

CARD

LUCKY ME

スピーカーから穏やかに広がる、だいだい色の陽だまり

元LOSTAGEのメンバー二人が在籍する、奈良のインディーエモバンド、CARDの2ndフルアルバム。マイルドに鳴らされる透明感のあるギターと優しい歌声が終始穏やかに楽曲を包み込むサウンドは、USインディーの血を脈々と感じる初期から、少しづつその形を変えてきた結果なように思う。

2015.11.25

absentmindedness

「SHE」

無常と寂莫の交差点で、メロディアスな溜め息

愛知県岡崎市を中心に活動していた3ピースガールズバンド、absentmindednessの2ndアルバム。現在は活動休止中。エモ、メロディックパンクなどの影響を受けた王道なガールズロックで、やや和の心も感じられる切ないメロディと、そこに乗る哀しい歌詞が特徴的である。それでありながら、音像や声にはそこまでの悲壮感は無く、どちらかと言えば無機質な白っぽい音であるのがまた持ち味であり、逆にエモーションを駆り立てて来るから不思議である。

2015.11.24

Amusement Parks On Fire

Road Eyes

ネオ・シューゲイザーの夜明けを見据える翠の双眸

2006年にサマーソニックで来日を果たした、イギリスのシューゲイザー通過型ギターロックバンド、Amusement Parks On Fireが2010年にリリースした3rdアルバム。メインストリーム感に溢れるクリアでモダンなバンドサウンドながら、シューゲイザー的なフィードバックや深くかかったリバーブを用いることで、ストレートなギターロックのサウンドに奥行きとみずみずしい透明感を加味することに成功している。

2015.11.21

polyABC

inprint****

パワーポップ通過型ギターポップの一つの到達点

日本の男女混成ギターポップバンド、polyABCの2006年発売のアルバム。元ナイスマーブルス、popcatcherのアベ・マサトを中心に結成されたバンドである。popcatcherに関しては、BEAT CRUSADERS、toe、ASPARAGUSのメンバーが在籍していたバンド、として一部では伝説的存在となっている。そしてその伝説の一部としてまたこのpolyABCも語り継がれるべき存在なのである。

2015.11.20

TOKYOGUM

表情を隠し紡がれる、無色の色彩に溢れるラブソングたち

昨年の残響レコードへの所属も記憶に新しい、3人組ポストロックバンドTOKYOGUMの3rdミニアルバム。音楽性の変化を遂げつつ今年、リリースした3rdミニアルバム、"涙"では、よりその音楽性はストイックとなり、聴けば聴くほどにのめり込んでいく、魅惑的な淡白さを実現した。

2015.11.18

elliott

空を見ていた…。

ちょっぴり切ないミドルテンポJ-POP愛好家に捧ぐ

日本のシンガーソングライターTOMOKOのソロプロジェクト、elliottの2002年リリースのフルアルバム。Mr.childrenのバックコーラスを務めていた経歴があり、落ち着いた風格の伸びやかな歌声が特徴的。#2「ひまわり」にはドラマタイアップも付くなど、J-POPシーンで売れることを意識したアルバムであった事は見て取れるが、その割にはいい意味で気の抜けた、素朴な印象を受ける。派手さはないが、その分純粋に良い音楽を楽しめるこれらの楽曲からは、少々大人向けなシーンを狙っていたのではないかという推測が浮かび上がる。

2015.11.17

Stockades

Stockades

またもやオーストラリアに現れる、ハイブリッドポストハードコア

オーストラリアはメルボルンの5人組ポストハードコア、Stockadesの4曲入りEP。タッピングやアルペジオを用いたクリーンな曲展開と、時として何人もの声が重なり歌い上げられるスクリームの合唱が印象的だ。また、このバンドの面白いところとして、ボーカルが同時にサックスも兼任しているところであり、時として、サックスのムーディな音がジャジーなニュアンスを匂わせる。

2015.11.14

THE UNIQUE STAR

Good morning DEVIL

鮮烈に鋭角を抉る夜光、ドラマティックに栄え

日本の男女混成4ピース、THE UNIQUE STARの2ndアルバム。現在は無期限活動休止中。切れ味の鋭いオルタナティヴなギターサウンドに、男Vo.エバタヒロカズのハイトーンボイスと女Vo.tomoの透明感のある歌声の絡み合い、そしてドラマティックかつメロディアスな曲展開が特徴。活動休止前はインディーズシーンでもシーン外でもそれなりの存在感を見せており、収録曲「バタフライ狂騒曲」はKONAMIの音楽ゲーム「GuitarFreaksXG2&DrumManiaXG2」に収録されたことでも話題に成った。

2015.11.13

Nothing

Guilty of Everything

モノクロのフィルターを通じる、扇動的情景と無味乾燥な生死

新世代型シューゲイザーとでも呼べるような、包み込む轟音とハードコアライクなダイナミックなリズム隊との融合が非常にディストピア的で美しい、アメリカはペンシルバニアの4人組、Nothingの1stフルレングス。