disc reviewcllctv. 企画 Internal Meeting vol.1 ライブレポート

tomohiro

headache

 

 

 

2015年前後、名古屋の地でひっそりと生まれ、ささやかな存在感を持ってポストロックシーンの端に座っていた、headacheというバンド。今はメンバーも住む場所が離れ離れとなり、バンドとしての活動は未定の状態だった彼らは、僕にとってcllctv.を始める前から音楽において刺激を受け、与えてきた大事な仲間でした。

そういった旧友を再び人々の元に届けたいという思い、さらには、Internal Meetingという「拡散する内輪」を立ち上げるためには僕自身の持つつながりを手繰っていかなければならない、という思いで彼らには声をかけました。

 

20200118-22

BGMが少しずつボリュームダウンしてきて、板付きの彼らから弾むようなドラムフレーズが聞こえてきたときには、すでに最前に位置していた仲間たちの表情に笑みがこぼれ始めていて。最初の曲、”cycle”は彼らの活動初期から、彼らの目指す音楽の形をよく表す名曲として、演奏され続けていた楽曲です。変則的なチューニングからこぼれ落ちるみずみずしい音が心地よく反響していくその様は、開始3分にしてすでに人々の心を惹きつけるのに十分だったと感じます。

続く”balloon”、”skirt”は五本の指が軽快に弾き出す音の粒の密度をしっかりと感じられる楽曲で、フィールの心地よさを大切にしながらも、技巧的な挑戦を続けた彼ららしいバランス感がよく表れていると感じます。多面的にその表情を変えながら、とある情景を、日めくりのように切り出してつなげていくメロディは、ライブにおいて情熱を伴い、よりエモーショナルな形へと昇華されていき、聴く側の高揚感をしっかりと引き出していく。

そして続くのが、”nil” 。この曲は僕の個人的なフェイバリットで、度々僕が言及するheadacheの「ポストロックシーンの端」を体現しているように感じます。のっけから鳴る巻き弦の重厚なコードや、ややもって軽妙さも感じる単音のメインフレーズ、感情の高まりとともに繰り出される台本なしの叙情的なギターソロ。今までのポストロックインストにありそうでなかった枠を埋めつつ、それでいてしっかり見える世界がある、青っぽさを持ち伸びやかな彼ららしい楽曲。Gt. ワタナベヒロトの叫びに呼応するように会場が熱を帯びていくのが爽快でした。

その熱量のままに、2ndアルバムから”flutter”、”garden”と続け、しっかりとラストに向けて熱量のチューニングをしていく彼ら。”garden”という曲は、headacheの中でも特にメロディが秀逸な曲で、生命力と退廃を併せ持つその様子は、坂本龍一、久石譲などの「日本のメロディ」の影を感じるもので、広く取り入れポストロックとしてアウトプットしていく、そんな彼らの懐の広さを表すものでもあります。

 

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ラストはミッドウエストエモのツインクルさも感じさせ駆け抜ける、”a ghost secret”。エモリバイバルに片足を突っ込んだ人間なら伝わるフレージングはエバーグリーンそのもので、次第に熱を帯びかき鳴らすコードも観客を沸かせるに十分。沸騰する最頂点で美メロなギターソロを投げ込み会場の熱気も急上昇、初手と思えないほどの高揚感を後に演奏を終えた彼らの顔には不敵な達成感がにじんでいた。

 

セットリスト


  1. cycle
  2. balloon
  3. skirt
  4. nil
  5. flutter
  6. garden
  7. a ghost secret

WRITER

tomohiro

エモを中心に枝葉を伸ばして聴いています。アナログな人間でありたいと思っています。野菜がたくさんのったラーメンが好きです。

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