disc reviewsassya- meets cllctv. -mail interview-

tomohiro

岩上そういった意識はしていなかったのですが、前作を出した後の2年程前から、だんだんミドルテンポの曲や、ヘヴィーなリフを多様した曲が増えていきました。
活動当初は疾走しつ続ける曲が多かったですね。ギターがストラトだったのでギャリギャリしてて、ポストパンクの要素が強い曲等もありましたが、そういう要素は減っていきました。
『non communication』というニューアルバムの曲は、全て前作以降につくった曲ですので、変化がわかり易いかと思います。
何故そういう変化を遂げたのかは正直言ってよく分かりませんが、ニューアルバムの1曲目に入っている”omit”という曲に今迄の自分達の曲とは違う感触があって、その曲に引っ張られる様な感覚で色々曲が出来ていったからだと思います。

Tomohiro確かに1st EPの楽曲はリフの音選びにはポストパンクっぽい空気が感じ取れますし、”だっせえパンクバンド”のメロディや爽快感なんかはCOWPERSやdiscotortionっぽいジャパニーズオルタナ要素も強いですね。海外のバンドと比較されることは多いと思うのですが、国内のバンドではどういったバンドが好きですか?

岩上Tomohiroさんが挙げたバンドは勿論の事、他にもeastern youthやブッチャーズ等の北海道勢に好きなバンドが多いです。
後は我々と同じようなシーンでリアルタイムに活動している、5000、福島のthepath等の、ハードコア・ポストハードコアバンドには凄く刺激を受けています。

Tomohiro僕も上記のバンドや、北海道のbufferinsというバンドがとても好きで、あの年代の空気感が大好きなので、sassya-の音楽自体に親しみやすさがあったのかもしれません。北海道のあの年代のバンドたちはみんな共通項として持っているように感じますね。
5000やCape Light、sans visageをはじめとする若手激情は、少しずつながらも確実に基盤を固めてきているジャンルだと感じていて、1リスナーとしてとても頼もしく感じます。もちろんこれらのバンドも、sassya-をはじめとして、同年代のバンドからの刺激を受けているでしょうし、こういった相互関係が(目に見えているかは問わずに)生まれているのは、音楽としてとても価値があることだと思います。
ここからは、もう少しsassya-というバンドの作る音楽の話について掘り下げさせてください。
sassya-を表現する際によく用いられていると思いますが、sassya-の楽曲には「怒り」というか、そういったパワフルな感情が内包されているように感じます。曲作りはそういった心の動きに先立って行うことが多いですか?それとも、メンバーでスタジオで作った結果がこういった形になるのでしょうか?

岩上結局、僕という人間はどんなに人生が良い状況になっても、フラストレーションが溜まりやすい人間なので、穏やかな心を持つ事は半ば諦めてます 笑
sassya-にとっては良いことかもしれないですけどね。
そういうフラストレーションに先立って作った曲もありますが、基本的にはスタジオで合わせて作った結果が、曲として残るものが多いです。
スタジオで合わせた曲の原型を僕が家に持ち帰って、感情が高まった時に更に練って、そしてスタジオでまた合わせます。そういう作り方が現在の主たるやり方ですかね。

Tomohiroなるほど。今作に至って、バンドアンサンブル全体での気持ちよさというか、構築性の高さをより感じます。しかしこじんまりとした感じがしないのは、一度持ち帰って感情に合わせて練り直すといやり方によるものなのかもしれませんね。
今回のアルバム制作やその後の展開にあたって、何か気をつけていたことや、こだわっていたことはありますか?

岩上アルバム制作に関しては、できるだけ生々しさをパッケージングしようと心掛けました。
生々しさというのは、大きく分けて2つあります。
1つは録り音としての生々しさ。アルビニ録音と言われる、スティーブ・アルビニがレコーディングするような、楽器が目の前で鳴っているような音です。その辺りはレコーディングエンジニアと色々話してやりました。
もう1つそれと同じくらいか、より重要視した事があります。それは感情を如何に楽曲へ閉じ込めるかです。これが生々しさの要因になっていると思います。
それを出すために演奏と歌の録音を、同じ日に1日で全てやりました。特に演奏に関しては全て3人で一斉に録音して、殆どの曲を1テイクだけ演奏しました。
何故そういう事をしたかというと、高まった感情を剥き出しのドキュメントとして録音するのが、現在のsassya-の楽曲に必要だし、合っているからだと思ったからです。
リリース後の展望としては、そこまで深く考えてなかったですね 笑
ある人のアドバイスで、このアルバムは凄く良いからレビュー執筆の依頼をした方がいいと言われて、色々連絡をとってます。その助言のお陰で、今回こうしてインタビューもやって頂けているので、次回作を出すときはもっとタイミングを考えます 笑

WRITER

tomohiro

エモを中心に枝葉を伸ばして聴いています。アナログな人間でありたいと思っています。野菜がたくさんのったラーメンが好きです。

このライターの記事を読む