disc reviewアライヨウコ インタビュー 2nd album 「優しい荒波」に寄せて

tomohiro

さざめく波のようにして青い歌を歌うシンガーソングライター=アライヨウコ。1stアルバムから約2年を経て完成された2ndアルバム『優しい荒波』。これまでの心地よい生活感から少し離れ、より聞き手に肉薄し、鋭さを増した言葉たちが歌われる今作の発売に向けて、彼女の音楽と意志とを紐解くべく、インタビューを行いました。

Tomohiro(以下Tomo)というわけで、東京から、名古屋のcafe&bar drawingまでアライヨウコさんに来ていただきました。よろしくお願いします。

アライヨウコ(以下ヨウコ)よろしくお願いします。

Tomo 今日はわざわざ東京からありがとうございます。ヨウコさんって東京の生まれでしたよね?名古屋にたくさん友達がいることが少し不思議だったのですが。

ヨウコ そもそもは、東京で、早川亮くんと友達になったのがきっかけで。彼が名古屋の友人として西村くん(drawingの前店長)を紹介してくれて。名古屋でライブをしたいという話を西村くんにしたら、drawingでのイベントを早速組んでくれて。来てみたら名古屋にはとてもフレンドリーな人が多くて、気付いたらたくさん友達ができていた、という感じ。

Tomo 確かに、名古屋ってちょうど東京から来やすい距離なんですよね。それ以降、drawingでは何度もライブをされていますよね。

ヨウコ 最初は西村君が誘ってくれたのがきっかけだったのですが、いざ来てみたら、お店の壁の絵が私のすごく好きなアーティスト(STOMACACHE.)の絵で、「エェーッ!なんでこんなところに?」って 笑。彼自体もエモ、ハードコアとか音楽の好みとかが似ていて、もう仲良くなるしかないなって。

音楽を始めた最初は歌だけ歌いたくて、
JUDY AND MARYのYUKIちゃんみたいになりたかった

Tomo 音楽とそういうアートワークって思わぬつながりがあったりするのも楽しいですよね。今こうして、弾き語りでの活動をされていますが、そこに至るまでには、どういった経緯があったんでしょう?

ヨウコ 昔はバンドを組んで、ベースを弾いていたりもしました。

Tomo へぇ!ベースですか!

ヨウコ 音楽を始めた最初は、歌だけ歌いたくて、JUDY AND MARYのYUKIちゃんみたいになりたかった。でも、実際ボーカルだけって難しくて、ギターも練習していたり、そもそもギターで曲を作っていたりしたので、ギターを持って歌うようになりました。そういうのもあって、個人的には、今の弾き語りのスタイルだけじゃなく、バンドとしても音楽をやってみたいというのがあって。その時には、もっと自分の好きな音楽や趣味をゴリ押ししたものをやってみたいな…なんて。

Tomo いいですね!bufferinsみたいなバンドやってくださいよ!

ヨウコ bufferinsいいよねぇ。他にもtoddleみたいな音楽もやってみたいな。

Tomo この流れで、好きな音楽の話、なんですが、聞いてみるとギターフレーズの不協和音を用いたアルペジオなんかに、Climb The Mindなんかの影を感じたりするんですが。

ヨウコ 趣味がバレている 笑。

Tomo もともと、そういう音楽が好きだったんですか?

ヨウコ うーん。もとを辿れば、椎名林檎とか。そもそも歌詞でしか音楽を聴いていなくて。中学時代から自分のストレス発散方法は文字をひたすら書き連ねることで。そんな中で私の歌声を褒めてくれる人がいたりもして、自分で歌ってみようかなって。だからもともと作る曲も今みたいなものではなかったんだけど、そこら辺は多分、NUMBER GIRLとか、後、bloodthirsty butchersとか、そう言ったエモオルタナの影響かなぁ。ああいった音使いがすごく、生々しくて沁みるというか。あと聴いていた音楽としては、私が高校生の頃はもう銀杏BOYZ世代で。あとはRADWIMPSとかSHAKARABITSなんかをよく聴いていたかなぁ。

Tomo ふむ。この時点ではまだ、エモオルタナにどっぷりではないですね。

ヨウコ それはもう少し後の話。バンドで活動している時にお世話になった方が「こういう音楽聴いてみな」と渡してくれたのが、Climb The Mindであったり、Discharming manだったり、あと、小谷美紗子さんなんかもそうなんだけど。そうやってたくさん教えてもらった音楽に向き合って行った時に、そう言ったバンドの持つパッション、と呼べるようなものに魅せられたというか。

Tomo 今あげたようなバンドって、こうなんというか、生き急いだ生々しさというか、まっすぐとした荒々しさのようなものが純粋で美しくて、そこに魅力があるように思えますね。

ヨウコ うん、エモとかってもうコード感で親しめるというか。

Tomo なんというか、人懐っこい音楽ですもんね。僕、最初洋楽って苦手だったんですけど、洋楽の抵抗が薄れていったのはそういった音楽の影響かなって。

ヨウコ 好きな音楽の話だと、これぐらいかなぁ。あとは、言葉としては、クリープハイプとか、さっきもあげた小谷美紗子さんにはすごく影響を受けたかな。クリープハイプの好きなところは、日常のすぐ近くにある感情をただ描くだけでなくて、その言葉使いや言葉遊びがすごく上手なところ。すごく歌詞を書くのに影響を受けたかなぁ。

Tomo なるほど、ヨウコさんの書く生活感がある歌詞の源流はそういったところにあったんですね。次の質問なんですが、九州であったり、北海道であったり、精力的に各地を回られてると思うんですが、そのバイタリティは何由来だったりするのかなって。

ヨウコ 最初はアルバム作ったからツアーやる!っていうなんとなくある流れを真似して始めたのだけど、各地で出逢う人や単純に遠くへ行くということの新鮮さ、あとは馴染みのない土地でも聴いてくれる方、歌わせてもらえる場所が在ってくれるんだなぁということが今では大きく励みになってる。飽きっぽいのでやったことない事に挑むのはすごく好きだし、結局は「楽しいから」に尽きるかな。周りに色んな活動のやり方をしてる方が多いのもラッキーだと思っていて。それに各地、食べ物も美味しいしね!

WRITER

tomohiro

エモを中心に枝葉を伸ばして聴いています。アナログな人間でありたいと思っています。野菜がたくさんのったラーメンが好きです。

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