disc reviewゆ〜すほすてる新作シングル「どっかいっちゃいたい/いかないで〜」特集

shijun

お久しぶりです。cllctv.Shijunです。

本日は2019/12/7発売、12/20サブスク解禁済のゆ~すほすてるの新作「どっかいっちゃいたい/いかないで~」について、遅ればせながらご紹介、レビューさせていただきます。CD購入はこちら、サブスクリプションサービスでの配信はこちらで。

ゆ~すほすてるとは?

京都を中心に活動中。当初はegwの宅録ユニットとして発足。2017年秋ごろからメンバーが加入し、バンド形態となる。主に90年代オルタナ/ポスト渋谷系/10年代前半の東京インディーなどからの影響を感じさせる楽曲やサウンドと、線は細いがハイカロリーなメロディラインが持ち味。ショートチューンを連発しまくる大味なライブも魅力。音源制作に関しては外部エンジニアを一切入れずに録音からマスタリングまで自主で完結させる姿勢をとっており、これまでも同様の方式でミニアルバム1枚とカセット一本をリリースしている。

レビュー

彼らの一番の魅力はミドルな諦観を甘く瑞々しく閉じ込めたメロディラインだと思っている。個人的にはJETTER3や堂島孝平、TRICERATOPSあたりの90年代後半~00年代前半J-POPの香りを感じる。

「どっかいっちゃいたい」はタイトル通り全てを投げ出すしたい時のあの感じを瑞々しいパワーポップで表現している。2分という短さが素晴らしい。彼らの楽曲はそもそも短いものが多いのだが、始まりから終わりまで 特に曲の終わり方で情念を残すのが抜群に巧い。「いかないで~」では「喪失」というテーマをポップに聞かせる。ギラギラとしたギターに爽やかなコーラスワーク、カラッとした空気感の中にじんわりとした寂しさが残る。

CD版のみに収録されている宅録音源も素晴らしい。「まっていて(自宅録音)」はうっすらと暖かいコード進行と淡々とした空気感がどうしようもなく切ない。「九月(自宅録音)」は「さあ始めからやり直そう」のリフレインが印象的、一度だけ挟まれる「きっと元には戻れないけど」がなんとも正しく寂しい。

J-POPやギターロック好きならば是非ともチェックしていただきたい一枚である。ショートチューン連打のライブも素晴らしいのでそちらも是非。

リリース情報

jacket

ゆ~すほすてるどっかいっちゃいたい/いかないで~

1.どっかいっちゃいたい

2.いかないで~

3.まっていて(自宅録音)*

4.九月(自宅録音)*

*CD版のみ収録

 去った平成に未練を、座りの悪い令和には諦念を……

 京都のバンド「ゆ~すほすてる」渾身の新作シングルは、ショートチューン連発だった前作までの勢いを血肉とし、腰を落として繰り出される二撃必殺ストレート的両A面。疾走と号泣を行き来するような情緒で鳴る楽曲がぼくらの「終わりなき日常」に翻す反旗、そこから立ち上る風は、昭和以後のフォークソングや日本語ロックが代弁した「民衆の憂い」の残り香を感じさせる。イラストレーター・みずすによる爽やかなジャケットも結成当初からのタッグとなれば流石の親和性。CD版にのみ収録の宅録ナンバーも聴き逃せない。

Songs/Words/Rec/Mix/Mastering:egw

Illustration:みずす

Production Cooperation:Mabase Records

WRITER

shijun

ポップな曲と泣ける曲は正義です。female vocalが特に好きです。たまに音楽系のNAVERまとめを作ってます。なんでも食べます。

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