disc review人生に 寄り添う/かすりもしない ハードコアという音楽について

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ハードコアというとやはり乱暴で危ない音楽に聞こえるだろうか。 たしかに、最近にもCode Orangeのライブ中に安全靴を履いて暴れた輩のせいで大きな怪我を負ってしまうファンもいたり、そこに乱暴な意志が介在してしまうこともあるのは事実だ。(Code Orangeといえば、来日の際にはstiffslackの新川さんもモッシュの中でワンパン食らって大きな痣を作っていたような記憶もある。これは故意と言うものではなかったような記憶があるけど。)

 

とはいえ、ここで忘れないで欲しいのは、それはあくまでも一部であるということ。 ハードコアは、気持ちの発露としての音楽という観点から見ると、とても純粋な位置にあって、まさにエモーショナルが全て吐き出されて生まれる、そんな音楽であると僕は思っている。 僕は今までたくさんのライブでハードコアを見てきた。そしてライブが終わるたびに気持ちが晴れやかになったり、高揚していたりするのを感じた。

僕はあまり対外的な性格ではなく、鬱屈としたものを溜め込むこともあるが、そんな不器用な我々にも同じ気持ちであると手を差し伸べ、同じ立場から感情を吐き出す支えとしてハードコアは存在してくれている。 元気をくれる音楽というのは多分人それぞれで、例えば僕もメロコア聞いても元気は出る。でも僕はメロコア聞いて元気が出るときは明るいところから引っ張り上げてくれている感覚を覚えている。一方でハードコアは僕と肩を並べ、一緒に明るいところへ向かって歩いてくれるような、そんな温かさをあの乱暴な音楽の奥に感じる。

 

ハードコアとは叫ぶ音楽である。叫ばれる言葉たちには意味があるものではあるが、正直なところ僕としてはライブを見るに当たって叫ばれる言葉はそれほどの重要性を持っていない。 もちろん、ハードコアはスタンスの音楽であり、主張の音楽である。なのでそこを軽視することは必ずしもそれを聞くスタンスとして正しいとはいえないのかもしれない。 でもやはり僕は感情がひり出した声になっていない叫びに声を合わせ、日々の鬱屈としたものを共有してくれるものとしてハードコアを見てしまう。 だから、その殺伐とした音像の裏にいつも温かいものを感じるし、ライブの中で一緒に声を上げることに強い一体感を感じさせ、エネルギーを分け与えてくれるハードコアという音楽が好きだ。

 

また、ハードコアというのはとてもDIYな音楽であるというのも、それを語る上で外せない重要なパーツだろう。 このシーンは未だに若いエネルギーに満ちていて、日本の若手のバンドがしっかりそのシーンを支え、海の向こうと手を結びながら音楽の発展を続けている。 毎年東南アジアやオーストラリア、あるいはアメリカやヨーロッパ、世界各地のバンドが海を渡り、自分たちの感情を形作ったものを僕らに届けに来てくれる。そこにオトナの大きなお金の動きは無いし、みんな自分たちの意志で身銭を切りながら、仲間を作るために伝えにきてくれるのだ。そこには海の向こうから来る彼らを伝えようとしてくれる国内シーンの確かな努力があって、まぁ極端な話DIYゆえにみんなとても生活を懸けながらこれを続けてくれているのだ。

確か初めて見に行った海外のハードコアバンドは、blue friend, astheniaと一緒にツアーしていたcalculatorだったと思う。 そこで話す言葉は違うが根っこは繋がっているような温かみを感じた。 ハードコアは叫ぶ音楽だと言ったが、それゆえに英語だろうが日本語だろうが関係ないのだ。何言ってるか分からなくても一緒に声を上げれば気持ちを合わせることができる。それが僕が感じているハードコアの魅力の一つなのかもしれない。

 

ここまで散々ハードコアのナマモノ感を書いてきたが、つまるところ、これは本当に現物を目撃して欲しい音楽であるというところだ。 音源では聴けなかった、見られなかった言葉一つ一つへの気持ちの乗せ方、振り絞るエモーショナル。それを感じたとき、僕はハードコアがもっと好きになった。もしまだそれを感じていないのであれば、ぜひ感じてみて欲しい。 あなたが感じに行くことが、次の誰かが感じる場を、居場所を作ってくれると僕は思っている。

 

というわけで、直近のハードコアの来日はこれです。

 

 

別に回し者では無いです。 ただ、ungulates、もしくはそれ以前のsans visageの頃からの海外バンドの招聘に僕は毎回とても恩恵を受けてきたし、そこでたくさん得た感動を一度文章にしておくのもいいかと思ったわけです。

ちょっとこの来日について触れると、MASSA NERAですが、まずUSの現行激情であるというのが言いようもなく尊い点の一つです。US激情独特の渇いたエモーショナルは他の地域のバンドでは感じられないことですし、それが日本に足を運んでくれる機会は今まで僕はあまり出会っていません。

beau navire, Carrion Spring, theultimatescreamoband, Old Soul(解散しちゃったけど), .gif from god, La Dispute…。USには素晴らしいバンドがたくさんいるしそこと同じ空気を吸ってきたMASSA NERAを見るのが僕はかなり楽しみです。

また、このバンド、僕がたまたまイギリスのエモヴァイオレンス専門のDIYレーベルからカセットを購入したことがあったのも合わせて、まさかそれが日本に来てくれるなんてという驚きがとても大きかったバンドなので、ツアー前からなんとなく他人じゃない感じを感じています。 なのでぜひ成功して欲しいと思います。

 

ライブを見ろ、現場に行けというのはもはや若干古い価値観になりつつあるのは色々な場面で感じていて、それでもやっぱりライブハウス世代の端っことしてライブを生で見ることの素晴らしさは伝えていきたいなと思うわけです。みんなではるばる海を渡って伝えに来てくれた感情を受け止めに行こう。

 

 

以上、最後まで読んでくれた人のためにマイフェイバリット、ハードコアライブ映像集を公開しましょう。

 

 
北欧激情のレジェンド、Suis La Luneのロシアでのライブ。途中で冗談なくらいナードな青年が壇上に上がってすごくナードなダイブをするところが大好きで何十回も見た。

 


日本の激情を支えるheaven in her armsのこれもロシアでのライブ。赤い夢の時の客がマジでいい。

 


百万回見ても色あせないkillieの台湾でのライブ。客が良すぎる。

 


さっき文中で少し話題に出したcalculatorとツアーした時のブルフレ。客がいいのは言うまでもないけどチラチラ映るcalculatorのメンバーがマジで楽しそうなのが最高。映ってたか定かでないけど僕もどっかにいる。

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