disc review山の子がいく、都市型フェス。踊る踊らないの押し問答

tomohiro

みなさんこんばんは。

早速ですが、今はサマーソニック2018の真っ最中ですね。mastodonとか、friendly firesとか、Tame Imparaとか見たかったな。そして昨日はその前夜祭、ソニックマニアが開催されていました。

今年はブレインフィーダーがなんか本気出してきてやばい面子を連れてきたり、マイブラ、NINとか、かなりのビッグネームも参加とかなり熱い一夜になりました。そんなわけで、ついに僕も都市型フェスデビューしてきました。ワンナイトってのが最高だね、ちょうどいい。あと会社から直行で間に合うのも最高。

 

僕は山の子なので、これまでフェスと呼ばれるものは森道市場とフジロックしか参加したことがありません。テント泊が基本です。やっぱりフェスってある程度非日常なものですし、そこにどっぷりと浸かるためにはやっぱ複数日かけて、なおかつテント持ち込むくらいして自分のメンタルを整えないと楽しめないなーと思ってしまうんですよね。

あと、なんか都市型フェスってギラギラしてそうで怖い(偏見)。

 

 

そんな山の子が里に降りて都市型フェスに参加したという、おのぼりさん平成末期版みたいな感想をお届けできればと思います。これはフェスは人が多いから嫌とか言ってたにわかがそれなりにフェスを楽しめるようになって語っている話です。

 

あ、先に普通にライブの感想を書きますね。

今回ですが、僕の経路はこんな感じです。

sonicmania_tt

今回の大きな目当ては3つです。

  1. Dorian Concept
  2. My Bloody Valentine
  3. Flying Lotus

なので、この3つをなるべく長く見るように調整しつつ、他はルート取りとか考えながら埋めた感じですね。

Dorian Conceptは、周りの友人から新譜がマジでやばいって情報がすごく流れてきていて、そういう話を耳に入れつつ、自分はソニマニ当日に、仕事しながらようやく聴いたわけなんですが、これが本当に素晴らしくて。

やはりブレインフィーダーの流れって、FLYLOとか、Teebsとか、結構リズムの強いトリッキーな音楽が多くて、もちろんそれはすごくかっこいいんだけど、とっつきにくいところもあったりするなって思うんですよね。

そこのところ、Dorian Conceptがすごいのは、本当に楽曲がキャッチーなところですよね。

トリッキーなリズムで踊らせながら、メロディで歌うことを忘れない、本当に瑞々しい音楽だと思います。

この曲とかね。

そんで、ライブなんですけど、本当に感嘆してしまうのが、彼、ほとんど自分で演奏しちゃうんですよね。

もちろんこの曲も自分で演奏。本当にリズムトラックとか最小限のものだけ用意して、あとは自分で演奏して楽曲を作り上げていくんですよ。そして、そのタイム感の正確無比さといったら!

参考↓

microKORGみたいなミニ鍵盤が好きっていうのもポイント高いとことですよね。

 

音が小さい、ローばっか回るとか、音響的に正直物足りないところがあったのは事実ですが演奏としてはまちがいなくホンモノ。

ライブが終わった後話した知人が、「彼は本物の天才だね」と言っていたのがとても印象深い。

 

そしてこの後はNine Inch Nailsですか。僕は正直一曲も知らないんですよ。

でもライブがすごく良さそうなのは肌で感じていたし、せっかくだから見ておきたいですよね。そんなわけで見ました。

これは全然ライブと関係ないんですが、マジで来場者のNIN Tシャツ率の高さといったら!半分は着てたんじゃないかっていうくらい、みんなNIN Tシャツ。ちなみに、残りの半分のうちの半分はマイブラTでしたね。さすがヘッドライナー。

実際のライブなんですが、やはりヒリつく緊張感とじわりと汗をかかせるような熱量を秘めたパフォーマンスは圧巻。あの規模のグリーンステージにも一切広さを感じさせない堂々たる様はさすが大御所といったところ。周りに本当に楽しみにしてた感じのファン多くて、曲が始まるたびに本当に嬉しそうな歓声が上がるのはすごくよかったな。

 

次は一旦箸休め的にMarshmello。僕は普段EDMを聞くことは全くないですが、フェスで見るのは結構好きです。やっぱフェスとなると踊りたいんですよね。そんな自分の欲求を一番素直に解放してくれるのはやっぱりEDM。ソニマニ1踊れたという意味ではある意味ベストアクトかも。音響もバッチリでした。よく締まって体を揺らしてくれる低音の気持ち良さはさすがといったところ。ミッドからハイも良く伸びていてバランスが良かったです。

 

次は、お目当てその2のマイブラ。直前の単独公演に行った人の長文注意喚起(感想?)ツイートみたいなのが出回っていて、僕は正直きっしょと思っていたんですが(音楽を聴きに行ったのにあれはなんだったんだみたいな書き口がやばかったですね、鳥肌立つ)、ライブ自体はすごく楽しみでした。やっぱり僕もシューゲイザーが好きなので。。。

んで、ライブなんですけど。これはもうシンプルに最高、この一言に尽きますね。本当にちゃんと音が大きい。うるさい。これが、、かのマイブラか、、、と思うとなかなかに万感の思いがありましたね。メインステージも、NINの音響にはちょっと不満があったんですが、マイブラはそこらへんも無問題。当然っちゃ当然なんですけど、でかい音出すからと言って、ローばっか出せばいいわけじゃないですよね。んでなおかつ、サマソニみたいな閉じた空間だと発散しないぶんローは回りやすい。それで相対的にミッドからハイが小さく聞こえるって理屈だと思ってるんですが、そこらへんをうまいこと運営側には解消してほしいですね。どのステージも、吊ってるスピーカーの数が少ないように感じました。まぁ素人なんでわからないですけど。ここらへん、都市型フェスで音量とか気にしなきゃいけない感じが歯がゆいところはあるのかもしれませんね。道理でフジロックは振り切れた音を出すわけだ。

 

ともかく、マイブラはもう狂ったようにミッドもハイも出すんですよ。そうすると、NINとかで物足りなかった帯域もバッチリカバーされて、結果すごくちょうど良く聞こえるんですよね。バランスが。そう言った意味で、一番音が良かったのはマイブラだったと思います。でかい音は正義であることを思い出させてくれてありがとう。FLYLO見なきゃいけなかったからOnly Shallowが聞けなかったのが残念だけど。

あ、そういえばマイブラが終わった後に、なんかdb数がやばいみたいなきっしょ(二回目)いツイートが出回ってましたね。多分ミッドより上の成分が多いからうるさく感じていた部分もあると思っていて、実際あのくらいの音量が出ていたアクトは他にもたくさんいたんじゃないかな。測ってないから知らないけど。むしろ、耳が悪くなりやすいのは低音らしいですよ(要出典)。皆さんも気をつけて。

 

んで次はFLYLO!3DVJライブとのことですでに話題をかっさらっていたわけですが、VJもさることながら、やはりあの鉛の塊が次々飛んでくるような低音は本当に気持ちいい。ライブセットでは、ThundercatやDorian Conceptがサポートしてるって話も聞いて期待してたんですが、今回は一人でしたね。いつまでも聞いていたいし踊っていたい低音の雨、特に最後のThundercat、Kendrick Lamarのカバー、極め付けにNever Catch Meの流れは圧巻でしたね。一緒に行った友人が最高のポジションを確保して踊り狂っていたところが見れて良かったです。僕の友人はだいたいみんな踊り狂ってるから見つけられる。

最後は、フジで見たかったけど疲れ果てて見られなかったUNKLEを軽く流して終了。遊んだ後にすぐ帰路につけるのは都市型フェスの利点かも。

 

今回ソニマニに参加して、都市型フェスと呼ばれるものがどういうものなのか、何となく感じられました。

それはどういうことかというと、例えばおしゃれで綺麗な女性がたくさんいたり、いろんな属性の人がいたりっていうのと、あと全体的にシャバい。雰囲気が。

どういうことかというと、マジでみんな踊らないんですよ。Dorian Conceptも、FLYLOもみんなぜんっぜん踊らないし、なんならMarshmelloすら体を揺らす程度。みんな何をしに高い金払ってここに来てるんだろうなと感じてしまった。あんなに全力で音楽家が自分のアートを発露してるのにあなた方は涼しい顔して棒立ちかよと。いやまぁもちろん、その人なりのノリ方があるし、そもそも楽しみ方も違う。それでもやっぱ山育ちで流れてくる音楽に身を任せて、ダサいもおしゃれも関係なく思い思いの踊りを踊ってる様を見て来た僕には、その気取った感じはなんだか寂しく思いましたね。

あと、まぁ見たいバンドがあれば当然前の方に詰めてくと思うんですけど、結構周りの感じが厳しいですね。ここは俺の席だみたいな所有権を、なんのナンバリングもされていない空間に主張している。指定席制のライブだけ行ってればいいんじゃないでしょうか。踊りながら時折後ろの人から肘打ち食らったりして、僕はなんか悲しかったよ。

この辺りは、いろんな層が気軽に来れる都市型の功罪な気がしましたね。

 

あと、もう一点。これはみんな踊らない話にもつながってくるかもしれないんですが、ライブ=CDの実演会、鑑賞会っていう感覚の人って結構いるのかなって思いました。冒頭のマイブラ長文ツイートとかもそうなんですが、その中でボーカルの声が聞こえないみたいのがあって、そこにはやっぱり、ボーカルの声は聞こえるべき、リスナーが聞きやすいような音響にしろよと、そう言いたい気持ちが混じってるんですかね?踊らない人たちはアーティストの生の姿を目に焼き付けたいんでしょうかね?それはまぁ、正直わかるけど、生で鳴らされてる音は本当にその一瞬だけのナマモノじゃないですか。その音の波に全力で体を使って答えて行くのが、僕は最大の礼儀に思えますね。そっちの方がきっと記憶に焼き付きますよ。一瞬一瞬が。

 

これは僕の意見でしかないわけなんですが、ライブって、アーティストの自己表現の場だと思うんですよ。僕も元々はライブよりCD派だったけど、それなりにライブの数見て来た今だから言えることなんですけど、ライブの良さって、音楽を生で演奏しているゆえのダイナミクスの揺れとか、ちょっとしたミスとか、あとはそういうのを全部ひっくるめた、アーティストが表現したいものを全身で受け取り、感じる場だと思ってるんですよね。んでマイブラの話に戻すと、別に彼らにとっておそらくボーカルが聞こえることはそんな大事じゃないんですよ。声もいろいろ鳴ってる音の一つでしかない的なね。そもそも破壊的な音を出すことをやって来たバンドに声が聞こえないってそれはもう根っこからずれてる。

そういうスタンスを発信者側が取るなら、受け手の僕らはそれをただ受け入れるだけではないのかなと。受けいれた先に自分なりの解釈を踏まえた楽しみ方を探して行って欲しいなと思います。なので、結構今は現場主義とか言われて揶揄されがちだけど、好きな音楽の現場に足を運ぶことはマジで重要だと僕は思ってます。僕は好きだからメタルだって、インディだって、ハードコアだって、クラブイベントだって行くよ。そこに行って初めてアーティストの本当の意思が伝わることは本当によくあります。CDって否が応でもデジタル化されてある程度耳に入れる形が前提になってるから、全てプロセスド(雰囲気で言っているので実際使われている言葉かは知らない)なんですよ。耳障りいいインディロックがライブ見に行ったらキンキンに耳に刺さる爆音とかありますよ、その時、近づけた感じがしませんか?

 

とまぁ、こういう根暗なことを爆踊りしながら考えていた僕のソニマニでした。いやー最高だったな。

WRITER

tomohiro

エモを中心に枝葉を伸ばして聴いています。アナログな人間でありたいと思っています。野菜がたくさんのったラーメンが好きです。

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