disc review僕の家にフジロックがきた三日間

tomohiro

さて、みなさんこんばんは。僕は今VAMPIRE WEEKENDを見ながらこれを書いています。この後はCHVRCHESを見て、僕の今年のフジロックは幕引きとなります。

今年のフジロック、言わずもがな行かずにはいられないメンツでした。今一番ライブが見たかったDIRTY PROJECTERSに続いて、Mac DeMarco、MGMTと僕的に絶対押さえたいメンツをはじめとして二番手らへんの層の厚さ。若干渋い年にも見えましたが、それでもなお日本が世界に誇る、世界的な音楽フェスでしょう。しかし、現実は厳しく参戦はあえなく断念。失意の僕を救ったのは、ライブストリーミングだったのでした。

 

こっから後は僕の日記的な話になるので、最初に今回初の試みとなったYoutubeでのストリーミング配信について、感想を簡単にまとめておきますね。それ以降は暇な人だけ読んでもらえたら嬉しいです。

 

<良かった点>

・まずは何と言ってもフジロックが家で見られる!しかも映像超綺麗!音質も申し分ない!

・ヘッドライナーはやや出し惜しみな形となったが、土壇場でのSUPERORGANISM、Skrillexの追加など、しっかりと押さえるところを押さえた好ラインナップ!

・合間に挟まれる広告がよくできている。ハライチ岩井の歌も良かったが、CDをコンポに入れたところから始まるあの青春ストーリーは素晴らしい。多分僕の少し上の世代の話だと思うんだけど(小学生高学年でギリMD世代です)、改めてターゲット層も含めて高齢化フェスだと言われる所以がわかった(笑)インタビューもあのタイミングで流されたら見ちゃうよね。今まで音楽専門チャンネルでしか放映されてなかった気がするけど。

 

<悪かった点>

・これはあらゆる人が指摘していた気がするけど、本当にチャット欄が地獄。迷わず非表示推奨。あれを目にすることで気持ちに水が差されることもあったし。やっぱ高いチケット代+場所の遠さっていう壁を超えて、現地に集まる人たちはかなり出来た音楽ファンであることがわかった。まぁそこまでして行って、わざわざ現地で悪口言わないよねぇ。

・周りに誰もいない。僕をリフトアップしようとするも全然持ち上げられないアジア系の青年や、肩車する白人や、突然酒を押し付けてくるおじさんやダイバーを受け止める屈強な黒人がいない。やっぱライブは人の波の中で見てこその楽しみがいっぱいあるね。

・壁ドンを気にして音量があげられない。フジに行って最初に感動したのは、こんなでっかい音出してもいいのか!っていうところだった。そこに物足りなさを感じたのならば、来年は現地で乾杯しましょう(願望)。

 

<総括>

日本が世界に誇る音楽フェスとして、また一歩大きな前進をするきっかけになるイベントだったなと思った。お金を払える人だけが音楽を聴いていいっていうのは違うと思うし、こういう形で音楽にじかに触れていくきっかけが増えていくことは非常に意味があるのではないかと感じた。文化発信的な文脈でも意味が強いんじゃないかな〜。楽しい三日間をありがとうございました!

 

 

以降日記だよ〜。

僕の初のフジロックは2年前でした。僕は、何を隠そうDeafheavenというバンドが大好きで、でも当時大型の野外フェスにはあまり関心のなかった僕は、「フジロックか〜、Deafheaven来るならいくわ〜〜」とかのたまっていたんですが、来たんですよね、その年にDeafheavenが。いても立ってもいられず、ズババッとサークルの同期で同志を募って土日参加で行って来た(ほぼ連れて行ってもらったに近い)わけです。

珍しく快晴に恵まれ、土埃煙るホワイトステージで”Dreamhouse”が始まった時の興奮を僕は忘れられないでしょう。

多分このサークルピットの中に僕もいると思います。僕の知るホワイトステージの中で最もガラガラでしたが(笑)、これほど熱量のあるファンが押しかけたホワイトステージもあまりなかったように思います。(この後ベビメタで入場規制かかる。)

初参加のフジロック、言わずもがな最高だったのですが、僕のようなインドアもやしには体力的に厳しく、ぼんやりと来年はいいかなぁと思ったりもしていました。

 

そして、2017年。気づけば金曜日からフルの全日参加をキメていた僕がいたわけです。不思議ですね。大雨の中のバックホーンやデスグリップスでダイブしたことや、もはや別次元の存在感すら放っていた煌めきのThe XX。なんとしても見たくてテントの片付けも友達に押し付けてダッシュで見に行ったReal Estate。大雨にもかかわらずはしゃぎまくり、眠くなったら芝生にカッパ敷いて仮眠して、椅子立てて仮眠してテントには帰らず、一緒に行った友達からは無限の体力だと評された僕のフジロックはこの年も最高だった。あの場には何か人のメンタルや肉体を屈強にさせる力場がある。

 

さて、2年続けて行ってしまうと、3年目はもはや当たり前のようにいくつもりだったわけです。ラインナップを見ながら、金曜日は仕事休めなさそうだからせめて土日だなぁとか色々妄想しながら、土日参加だとマックデマルコ見られないなぁとか考えながら。

ですが、現実は甘くはなかったわけですね。恐ろしいほどにお金がなかった!社会人とはかくもお金の使い道が制限されるのかというほどに使えるお金がなかった!!

ルーキーアゴーゴーでpaioniaが発表された時には、脳が煮詰まって土曜日単発でソロで行ってこようかとも考えたんですが、結局実現可能性がなかった。もう今年のフジロックに関する情報は全てシャットアウトして、期間中は絶対にTwitterもインスタも見ないと心に誓い、来たる日に備えていたわけです。

 

そこでですよ。

 

来たんですね、Youtubeでのライブストリーミングが。

 

コーチェラもすでに導入していたライブストリーミング。これからの時代フェスイベントがより世界的に、インタラクティブなものになるためには必須の動きだとは思っていたんですが、まさかこれがフジロックでこんなに早く実現されるとは!しかも画質も音質もめっちゃいいし!

ここで一転、修行に思われた僕の週末は一気に薔薇色に変わりました、

 

まずは金曜日。

僕のフジロックはミツメとGLIM SPANKYから始まりました。もちろん金曜日なので仕事中なんですが、ちょうどこの2バンドが昼休憩の時間だったんですね。でも、やっぱり一つ見たら止まらなくなるじゃないですか。それ以降はミーティングとストレイテナーの被りを嘆いたり、仕事しながら別窓でYears & YearsをBGMにしたり、浮き足立ちながらフジロックとの接続を楽しみました。

そして、金曜日はマックデマルコが出る日です!しかも配信される!仕事が終わると同時にドミノピザでピザを頼み、ダッシュで受け取りコンビニで酒を補充してなんとか2曲目から参加!終盤で突然”Chamber of Reflection”が始まった時には思わず叫びました。一番好きな曲なんですよ。その後はN.E.R.D、POST MALONEと通して一日目は終わり。

 

さて、土日は本気のフジロックです。

その本気を、家の中でやらねばなりません。そして、常に酔い続け、家であることを思い出さないようにせねばなりません。なぜならほぼ常時配信があるので家の中がフジロックだからです、外に出ている場合ではないからです。朝8時に起きて、引きこもっている間食べる食材と、大量の酒を買い込みました。一日のノルマは酒2Lです。フェスご飯(再現)は、いろいろ考えた結果、記憶を辿り、中華そばとルーロー飯にしました。ルーロー飯は適当にレシピをググって作りましたが割と本物になったので、とても満足です。みなさんもぜひ作って見てください。中華そばはカップ麺ですがまあいいでしょう。余談ですが、フジロックで食べられる中華そばはどれもべらぼうにうまいのでぜひ食べたことがない人は食べてみてください。未だに去年食べた中華そばの味を思い出します。

 

先に流れを書きますが、

土曜日は、

シャムキャッツ→eastern youth→OLEDICKFOGGY→toconoma

小袋成彬→STARCRAWLER→JOHNNY MARR→SUPERORGANISM

D.A.N→Skrillex→MGMT→NATHANIEL RATELIEF & THE NIGHT SWEATS

日曜日は、

THE FEVER 333→King Gnu→WESTERN CARAVAN→Suchmos

Awesome City Club→HINDS→ANDERSON .PAAK & THE FREE NATIONALS

JACK JOHNSON →MISIA→DIRTY PROJECTERS→VAMPIRE WEEKEND→CHVRCHES(イマココ)

 

でした。結構見てるね。

配信のいいところは、やはり移動時間がないところでしょうか。もし僕が現地にいたら、土曜ラストのFIELD OF HEAVENは選択肢になかったでしょう。日曜のWESTERN CARAVANも、同じような理由で、配信だからあえて見ようと思ったアーティストですね。あ〜、毎年名前あるけどあえて見にはいかないよね〜的なね。

先にまとめておくと、配信で3日見た中での僕のベストアクトはeastern youthです。グリーンステージの、しかもあんな朝からヤマハSGをキンキンに歪ませて叫び続けられるのは吉野さんしかいない!本当に胸が熱くなるライブでした。あとはアンダーソンパークもやばかったですね。ヒップホップからダブ・レゲエまであんなにスケール感を持ちながら踊らせてくれるとは。

あとはやっぱり各ステージに用意される大きなスクリーンをどう使うかというのもすごく重要な要素で、そういう意味でYears & YearsやMGMTのライブは刺激的でしたね。特にMGMTなんですが、レッドマーキーにあんなにオブジェが詰まっているの初めて見ました。”Kids”やってくれてありがとう。大学時代を象徴するテーマソングです。新譜、やっぱいい曲多いなとライブ見て思いました。

今年は配信されてる中ではステージにすごく凝っているバンドはいなかったように思いますが、2年前のスクエアプッシャーは凄まじかったです。あれほど感覚全てに訴えかけてくるステージ、今後の人生でもどれだけ見られるか。

あとは、今年は流行りもあってSuchmosはじめとする横揺れ系小洒落ダンスポップ(当てはめるべきジャンル名がわからない。)が多かったですね。King Gnuは初めて聞きましたが、歌謡に寄せてる感じが結構新しくて好みでした。あとは横揺れといえばD.A.Nですね。本当に好きなんですよね、幽霊みたいに揺れるしかないダークさとか。ライブの完璧さも含めて非常に見応えがあった。

完璧といえば、逆の話で、DIRTY PROJECTERSのヘナヘナ感はすごかったですね。ああいうサイケデリックなバンドって、それぞれに独特のリズムを持っていて、そこには入れないとしっくりこないんですけど、入れた瞬間にめちゃくちゃ踊れるんですよ。あれは現地だったら爆踊りしていた。

小袋成彬やSUPERORGANISMのような、今のうちに見ておくべき!な先取りバンドも良かったですね。しっかり先端をキャッチアップしてくれている感じが。特に小袋成彬はアルバムを聴いていた時とガラッと印象が変わってかなり好きになりました。若者のすべてのカバーはちょっといただけないなと思いましたけど(笑)。

後は何かあったかな。あ、そうだTHE FEVER 333、超最高でした。あれは多分Deafheavenとかデスグリップスみたいな「枠」参加だろうかと思うんですが、めちゃくちゃに踊らせてましたね。パフォーマンスのぶっちぎったアクティブさや強面に反してめちゃくちゃ爽やかで感謝を忘れないボーカルとか、色々心動かされるライブでした。個人的には激しいという見方でいえば、STARCRAWLERはノるっていうよりも少し気圧されちゃったところはありましたね。

 

 

フジロックみたいな複数ステージあるフェスのいいところって、「たまたま通ったらやってたいい音楽を聴く」みたいな出会い体験だと思うんですが、それは今回の2ch使った休ませない矢継ぎ早な配信で近い感覚は得られたように思いますね。まさかこれだけ大盤振る舞いしてくれるとは思ってませんでした。

正直音楽を知らなくてもなんか雰囲気で体揺らしてれば楽しいし、それでいいと思うんですよね。だから、フジロック行く人は、本当に好きなバンドくる!後は知らないけど行く!みたいな気持ちになれれば、後は流れに身を任せていろんなステージを覗くといいと思います。僕もほとんど知らずに行っているので毎回スッゲー!って思いながら帰ってくるし、むしろ知らないバンドって曲すら知らないから音だけ聞いて無心で踊れたりするんですよね。

今年は台風で結構現地大変だったみたいですし、なんならそれで参戦を諦めた人もいたりするのではないでしょうか。そういう意味もあるし、そもそもライブを配信してくれたのは、いち音楽ファンとして本当に嬉しいし、英断だったと思います。来場者が減るのかもなんていう懸念もあったみたいですが、僕はそうは思いませんね。結局たくさんバンド見たけど、全部現地にいられない悔しさで胸がいっぱいでしたからね。

来年は全日いくぞ!!!

WRITER

tomohiro

エモを中心に枝葉を伸ばして聴いています。アナログな人間でありたいと思っています。野菜がたくさんのったラーメンが好きです。

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