disc reviewイナタさの魅力!台湾オルタナシーンを聞け!

tomohiro

イナタいとはミュージシャンの間で「泥臭い」「ブルージー」さらに「へたうま」といったニュアンスで使われる言葉である。関西のミュージシャンや音楽ファンを中心に良い意味での田舎臭さを表現する。

(日本俗語辞書 http://zokugo-dict.com/ より)

僕は、イナタい音楽が大好きだ。

くるりなら東京と図鑑が好きだ。スネオヘアーならSUN NEO AIR!、サニーデイサービスなら24時、YOGURT-poohならアントニオだ。バンドを始めた初期衝動の残る、荒削りな楽曲と歌い慣れない声、そのすべてのヘタウマを愛している。そんな人は僕以外にもたくさんいると信じている。
今回は、そんなイナタさを愛するすべての音楽好きに、台湾の音楽の魅力を発信すべく、こうして筆をとっている。

 

台湾といえば、まずはこのバンドだろう。

 

 

台湾のナンバーガールとの異名も取った、台湾バンドシーンの立役者、透明雑誌だ。

ジャキッとしたギターにどこか憎めないキャッチーなリフ、そしてボーカルの朴訥さ。イナタさの裏に潜む確かな実力によって、台湾のバンドへの影響はもちろん、日本での知名度も獲得したバンドだ。

しかし、透明雑誌を知っていても、他の台湾のバンドを知っている人は少ないのではないだろうか。そんな人たちは是非このコラムを機に、台湾へもっと目を向けて欲しい。
では早速行こう。

 

盪在空中(トウザイクウチュウ)

fishmansからの影響を公言するバンド。90’sジャパニーズオルタナの空気感を腰にくるダブ、レゲエのエッセンスで仕上げたバンドである。そして、ボーカルがヘタウマ!聴くほどに癖になる!

サクサク行こう
次はこのバンドだ。

 

 

老貓偵探社(the old mog detective agency)

これまでの2バンドよりもストイックな演奏がジリジリとした緊張感を与える。ボーカルも若干枯れ気味でいい。そしてなんかよくわからんうちにいいリフが始まって曲が終わる。気づけば再び再生ボタン。中毒性高し。

 

 

巨大的轟鳴(Gigantic Roar)

台南は高雄のバンドだ。とっつきやすく踊りやすい軽快な4つ打ちに体が揺れる。でもなんか歌はクールなのか情熱的なのかよくわからん。それがイナタいのだ。

女性ボーカルも1バンド紹介しておこう。

Boyz & Girl

最初この曲を聴いた時、思わずLuminous Orangeかよ!と僕は叫んだ。あなたが叫ぶかは知らないが。甘くキュートなボーカルと絡む、鬱陶しいくらいがちょうどいいリードギターの小回りのきいたフレーズがいいフックだ。他のバンドに比べて、圧倒的に聴きやすいので、ここまで、再生ボタンを止めてばかりの人も是非。
すでに解散してしまっているが、ボーカルは現在、Skip Skip Ben Benとして活動、他の3人もFORESTSというドープなオルタナバンドを結成し活動中だ。(2月に来日もしたね。)

と、枚挙に暇がない台湾バンドなのだが、今回僕がこれを書くにあたって、どうしても紹介したかった、(というかこの2バンドがメインなんだけど)2バンドがいる。

 

 

まずは、

つい先日待望の1stアルバムをリリース!この作品は間違いなく台湾音楽シーンのエポックメイキングとなる、現台湾のライブハウスを最も埋めるバンド、草東沒有派對(No Party For Cao Dong)!!!!!!!

 

 

ここにきて一番名前読めねぇのきたとか思ってる人も多いだろう。気持ちはわかる。でもとりあえずこれを聞いてほしい。

僕はこのイントロにもうやられた。

そこに言葉を尽くす必要はないと思う。低い温度感を保って進行し、ラスサビでドーンと放つ。なんと美しいのだろうか。。。

もう一曲紹介しよう。

これはとりあえずサビまで耐えてほしい。サビ後のフレーズが本当にぶち上がりすぎて、僕は部屋で踊り狂った結果酒の空き瓶をしこたま蹴ってのたうち回った。
この曲、ライブバージョンはなぜか、さらにぶちあがるEDM的アレンジが施されており、それがまた半端ない。

会場の熱気を想像するに難くないだろう。

このバンドの凄いのは、クールに、コード感とダンディな低音ボイス、女性コーラスとでじわじわと焦らし、サビでパワーコードを使って一気にドライブ、ボーカルも叫び、楽曲の熱気を最高潮へ持ち上げ、ピークを作るという手法を完璧に確立しているところだ。
すでに台湾のフェスでthe HIATUSとの共演を果たしたり、この夏も感覚ピエロと対バンが決まっていたりと、台湾ではもう完全な売れっ子バンドだ。しかし、日本での知名度はほぼゼロ。僕はとても嘆いている。もし曲を聴いていいと思ったのなら、あなたの近くの音楽好きに勧めてあげてほしい。生ぬるい4つ打ちバンドなど蹴ちらせ、ナードに踊り散らせ!!!!!

これと同じく、もう一枚2016年リリースのやばい音源を持つバンドがいる。それが落日飛車(Sunset Rollercoaster)だ。
もしかしたら名前を知っている人もいるかもしれない。2011年に、1stアルバムのリリースとともに、サマーソニックにてライブを行っているからだ。
しかし、あの頃の彼らとはもはや別物、完全に化けた今作、とりあえず聞いてみてほしい。

おそらく今あなたは混乱しているだろう。それも無理ないほどに、完全に70’sポップスなのだから。もう一度言おう。

2016年リリースの台湾のバンドである。

底が知れなさすぎる、台湾。センスに溢れたバンドの巣窟だ。

他のバンドと違い、このバンドはbandcampから音源が購入できる。ぜひ、気になった人は買おう。

 

 

そう。

困ったことにこれらのバンドは、我々のよく使う手段で音源を手に入れることができないのだ。(一部iTunesで買えたりもするが。)
しかし、これらの音源が一堂に会する素晴らしい配信サイトがある。

それがiNDIE VOX。台湾版bandcamp、iNDIE VOXだ。

次回は実際僕がiNDIE VOXを使って音源を購入した体験をもとに、iNDIE VOXでの音楽の買い方をレクチャーしようと思う。
それまではひたすらに台湾の音楽をディグって待っていていただけたら幸いである。
待て次回!

続く

WRITER

tomohiro

エモを中心に枝葉を伸ばして聴いています。アナログな人間でありたいと思っています。野菜がたくさんのったラーメンが好きです。

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