disc review南米の海岸線を走る、コスモポリタンのラジオチューン

tomohiro

Saturdays of ThunderThe Anchors

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The Anchorsはチリの四人組ポストパンク・リバイバルバンド。国内にkmkmsのボーカル寺田氏による同名のバンドがあるが、今日はそちらではなく、チリの方のレビューです。このバンド、おそらく今作が初めての音源であろうかと思われるのだが、ネット上で情報を拾うのが難しく(なぜかインスタとサンクラのアカウントしかないし、Youtubeに音源は上がってるけど再生回数も百前後レベル)詳細はわからない。マジで情報が拾えないのでジャケットの画像もサンクラからスクショしてきた。ただFranz Ferdinandもだし、The Fratellisとか、言うまでもなくArctic Monkeysとかその手のUKポストパンクリバイバルバンドへのリスペクトがゴリゴリに出てて、しかもそれがUKのバンドならそんなに気にもしなかったと思うんだけど、チリのバンドっていうから思わず手を伸ばしてしまった。チリってどんなバンドがいるのかなとか想像もできないわけだけど、もはやネットの海に飛び込めば国境もお国柄も関係ない時代、どこの国からどんな音楽が出てきても驚くようなことではないのかもしれない。ちなみにチリの公用語はスペイン語とのことだが、それに関しても違和感ないナルい英語を使いこなすし、案外英語圏で生活していたメンバーがいたりとかなのかもしれない。

聞いてる感じだと、バンドのコンポーザーであろうギターボーカルがなかなかポストパンク好きとしてのカラーを強く出しつつ、他のメンバーは彼に追従する形のようだ。絶妙に時々下手なドラムとか、リードギターのヘナっとしたギターリフもなかなか愛せる。そしてその実結構曲がいいのだ。正直ポストパンクリバイバル界隈ってかなりフォーマットが画一的なように思えて、リフもコード進行もどっかで聞いたことあるなって思うバンドはたくさんいるわけで、その例には残念ながらもれないわけだけど、しっかりとジャンル愛のある楽曲はなかなか侮れない。#1 “Lose Me”のクリーントーンのニヒルなコードリフや#2 “Downhill”のドライブ感の強いコードストローク、そしてやっぱり外せないツインギターのギターリフがダンサブルに転がる#3 “This Part Of Town”では痩せたクリーンギターのへなちょこなチョーキングが癖になる。かたや#4 “Call”ではコーラスギターでミドルテンポに、哀愁を漂わせつつ、ラストナンバー#5 “Walk Away”はサビではじける緩急がライブでは盛り上がりそうだ。

ジャンルへの愛からくる「型」の模倣って、すごく純粋な感情だなと僕は思っていてそういうのが好きで、今回はそんなバンドの紹介。UKポストパンクリバイバル好き是非聞いて、僕以上に正当な評価を下してください。

 

WRITER

tomohiro

エモを中心に枝葉を伸ばして聴いています。アナログな人間でありたいと思っています。野菜がたくさんのったラーメンが好きです。

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